遊行かぶき『中世悪党傳――勇者はふたたび還らず』

遊行舎 ５月13日(木)〜５月16日(日)

「勇者はふたたび還らず」

　月にむらくも、花に風のつね、建武の新政は端緒にして征夷大将軍の座をめぐって、足利尊氏と大塔宮が激しく対立、策略に勝る尊氏は巧みに准后廉子を動かし後醍醐帝に決着を迫る。そしてついに宮中の歌会にことよせて宮を拘束−配流先の鎌倉土牢において大塔宮は惨殺された。
　新政に叛旗をひるがえした尊氏は、一旦京の都を占拠するも、そこに比叡に逃れた朝廷方が送り込んだテロリストが現れ命を狙われることとなる。「これで解放された…もう何のためらいも要らぬ。あなたは、私に狂気をくれたのだ。この野郎！」
　やがて新田・楠木連合軍により、足利勢は西国へ追い落とされ、さしもの親政もここに天下一統がが定まったかにみえたが、再び驚異の足利軍がごとく上洛めざして押し寄せるに至って、ついに楠木正成は立ち上がる。秘策を胸に青葉茂れる桜井でわが子正行に別れを告げると、僅か七百の兵を率いて決戦場湊川へとむかう。