舞台は、イリリア。
双子の兄妹、セバスチャンとヴァイオラを乗せた船は嵐で難破。
ふたりは別々の浜に打ち上げられる。
妹のヴァイオラは男装してセザーリオと名乗り、イリリアのオーシーノ公爵に小姓として仕える。
オーシーノ公爵は、伯爵令嬢のオリヴィアに片想い。
男装のヴァイオラ（セザーリオ）は、オーシーノ公爵の恋の使いをするも、逆に公爵に恋心をいだいてしまう。
一方、オリビアは、恋の使者である男装のヴァイオラに惚れてしまう。
そこに、ヴァイオラの双子の兄、セバスチャンが現れ、話はややこしくなって行く……

円だからこそ出来るシェイクスピアを

シェイクスピアの研究・翻訳者であり、「円」の演出家であった安西徹雄は、「十二夜」の行き違いのロマンスである光の主筋と独善家マルヴォーリオからなる影の副筋を丁寧に描きました。
今回のバージョンでもその意図を外すことなく、安西の面影を辿りながら、演出渡邉さつきが上品で優雅な喜劇に仕立てます。
演ずる男優陣は、女性的な仕種や動きを強調しすぎず、特にヴァイオラは、劇中では男性を多く演じているわけで、男装のヴァイオラが女性であることを忘れさせてくれるような一種の倒錯を生む舞台を創りたいと考えています