私は恐ろしく大きいものの為に走っているのだ

太宰治の『走れメロス』この作品はあらゆる面で私を成長させてくれました。2007年、文芸社ホールで初演してから節目では必ずこの作品を上演して参りました。単純明快なテーマ、そして息もつかせぬ疾走感あふれる美しい文体、今この衰えてゆく肉体で何処迄出来るか、エイコの三味線の力を借りてもう一度挑戦したいと思います。そして前回に続いて岩間太郎さんには、芥川龍之介が関東大震災のあと横浜山手の壊れかけたピアノを描いた小品『ピアノ』を、エイコには19歳でハンセン病を発症し23歳で亡くなった北條民雄が死を見つめながら生きることへの賛歌をうたった珠玉の童話『すみれ』を演じてもらいます。このチームで力を一つにして劇的空間を創りたいと思います。
有馬銅鑼魔

『走れメロス』太宰治 作
独り芝居：有馬眞胤
下座：エイコ
『ピアノ』芥川龍之介 作
語り：岩間太郎
『すみれ』北條民雄 作
語り：エイコ