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能塾『語りの宇宙』稽古照今 俳優修業
2013年9月〜 毎週月曜夜(予定)
第三期『古事記』篇
稽古照今―古を稽(かんがえ)、今を照らすー伝統と現代の出会
この講座は現代演劇が、日本の古典芸能、古典文藝という豊かな演劇の土壌から断絶していることを乗り越えることを目的としています。俳優として、演劇が生まれる源まで遡り、歌が、舞が、言葉が、行動が生成する場に立ち会うことで、たんに古典を教養・知識として摂取するのではない、演劇人として血肉となり、身体や声や演技の新たな可能性を見出し、自己更新が遂げることがこのワークショップの眼目です。
文字が生まれる前の神話は常に口承によって伝承されていました。神々の物語は神が語るのが原則であり、神が人に憑依して語るという形をとりました。神話とともに始まった物語るという行為は演劇の発生に大きな役割をもちました。どの国でも物語るという行為は演劇の源なのです。そして物語は、神話であれ、歴史であれ、フィクションであれ、過ぎた時間を再現する行為であり、その物語を更に凝縮して、今ここに再現する行為が演劇であるといえます。
この能塾は2012年3月からレクチャー&ワークショップという形で 実施してきましたが、昨年は、第二期として、実技のウェイトを高くし「語り」に焦点をあて、『平家物語』を、シアターΧで今年の4月に上演しました。
第三期として日本の神話・物語の原点である『古事記』を取り上げます。
私達が日々使っている稽古という言葉のルーツは古事記の序文にあり「いにし(古)へを稽(かんが)へ、今を照らす」という理解、訓読みをしています。古人がかんがえ蓄積してきた教えを、素直に、考え抜いて理解し、自分の立つ今を照らし出していくことが稽古の本質なのです。また俳優という言葉は「わざおぎ」と読み、「わざ」−ことわざと言われるような隠された世界を「おぐ」−招き出し、発見する行為をする存在を意味します。
『古事記』は神々の世界から人間世界への移行を神話的に描いた壮大な叙事詩です。イザナギ、イザナミの国産みから、アマテラの岩戸隠れ、スサノオの八岐大蛇退治、オオクニヌシの国作り国譲り、ニニギの天孫降臨、海幸彦・山幸彦といった物語を読み解き、芸能の原点を探るという、まさに、「稽古照今」なのです。
神話時代、言(こと)は事(こと)でした。言を発すればそれは事となりました。古事記にはこの世の始まりから国土や神々が次々と産まれ、生と死が定められ、歌舞が発生する壮大な神話世界が描かれています。言葉の力によって全てが生起していきます。さらには琴という楽器によって神意が事問われるのです。まさに大国主命が妻の父スサノオから天の詔(のり)琴(ごと)という神器を奪うことは葦原中国の長の資格を得たことを意味しました。『古事記』の神代篇すべてを語り演じ舞うことで俳優の始原に遡る演劇的冒険です。
来年の6月のIDTF(インターナショナルダンス&シアターフェスティヴァル)でこの『古事記』神代篇の上演が最終目標です。
講師 笠井賢一氏
1949年生まれ。今尾哲也氏(歌舞伎研究)に師事。歌舞伎俳優八世坂東三津五郎秘書として著作の助手を務める
演出家、能・狂言のプロデューサー。また劇作、演出家として古典と現代をつなぐ演劇活動を、能狂言役者や歌舞伎役者、現代劇の役者と、邦楽、洋楽の演奏家たちと続ける。作品古典の「古事記」から「源氏物語」「平家物語」、近世の近松門左衛門、また近世の夏目漱石、泉鏡花、宮澤賢治、そして新作能まで幅広く演出。東京藝術大学非常勤講師、玉川大学演劇科非常勤講師。アトリエ花習主宰
日程
2013年9月〜
基本的に毎週月曜日17時〜21時
※17時に間に合わない方は途中からの参加も可
※詳細はお問い合わせください
応募概要
- 受講料
- 月謝制:1ヶ月 12,000円
単発参加:3,000円
初めて受講される方初回限定:1,000円 - 会場
- ギャラリーΧ/コミューンΧ(シアターΧ(両国シティコア)2階)
